2012/08/30

Ambleside

アンブルサイド<AMBLESIDE>。
Ambleとは馬がゆっくりとした歩調で歩いたり、散歩するという意味である。

アンブルサイドは、散歩するその横でというような意味合いだろう。





 12時頃、ロブに送ってもらいユースホステルに着いた。火曜というのに観光客が結構いる。チェックインは14時からなので何かしようと思う。
すると目の前に船着き場を見つける。どうやら遊覧船らしい、良い時間つぶしになりそうだと思い、チケット売り場へ行く。種類はいろいろあり、40分だけ周遊するものやあちこち停泊し観光するプラン。僕はウォーキングプランを選んだ。
まず3km程船に乗り、そこから4マイル(6.4km)歩き、そこから船で戻ってくるというものだ。

船が出発するまで時間がある。お腹もすいてきていたので、近くのフィッシュアンドチップス屋に入る。まずまず人がいたので悪くないのだろうと思い注文する。
しかし、魚が馬鹿でかいのはまあいいとしても味は記憶に残る程まずかった。応急処置としてモルトビネガーや塩こしょうやマヨネーズを用いたが、優秀な味付け役である彼らでも太刀打ちできなかった。油を切っていないんじゃないかと思うほど脂っこく、ポテトも揚げたてなのだがしなしなでまずい。以前食べたものはうまかった、場所によっては大きく味が変わるらしい。


船に乗り込むとオープン席があったのでそちらを選んだ。そして出発、しかし8月というのに肌寒くジャケットを着込んでいた事が功を奏す。ボートは15分ほどで最初の桟橋についた、ここから6キロ半のウォーキングだ。

眺めも良し、湖のほとりの空気もおいしく快調に歩き続ける。









大分歩いたと思い、表示板を見るとあと2.5マイル。まだ結構あるな。

途中いろいろな事が頭の中で浮かんでは消えた。


日本はどうなっているんだろう(まだ3週間しか経っていないが3ヶ月くらい経ったような気がした)旅が終わったら自分はどうやってあの東京に馴染めば良いのだろうか、自分の将来はどうなるのか、宇宙は本当にあるのか、月に行った人はどんな思いで地球に帰ってきたのだろうか。地球に帰るときどうやって地球に馴染めば良いのだろうと不安になったりしたのか、そんな事より地球に帰れないでこのまま宇宙のちりになるかもしれない。そして、あの月面着陸したアメリカ人は何を思い死んで行ったのか。。そんな事を思ったら自分の悩みはちっぽけだなと思った。

さまざまなことを思いながら歩く。途中かわいらしい4,5歳の男の子が自転車から転倒してしてしまったらしく大泣きしていた。彼女はどうやったら泣くのを押さえられるのかと必死のようだった。





急に尿意がする。しまった。

周りにトイレなんてなかった、まだ先も長い。
水分を摂りすぎたかもしれない、どうしようと思いながらも歩き続ける。

幼少の頃、家族で旅行中に同じような山で歩いており、そのとき急に便がしたくなった事を思い出した。

悩んだ末、我慢する事をあきらめ。山へ駆け上り、人が周りにいない事を確認し、用を済ませた。谷を駆け下り、道に戻ると年寄り夫婦が何事かと僕の顔を凝視したのは言うまでもない。笑顔で何事も無かったかのように歩き出したが、彼らはそのまま不思議そうな顔をして通り過ぎて行った。


湖のほとりの奇麗な芝生の上に木があり、その下で小休憩をした。
桟橋はすぐそこだった。やっと船に乗る事ができ、今まで歩いた分を船で戻り、最初の船着き場に到着した。かなりハードな観光だったが充実した、その後すぐホステルのチェックインを済ませ部屋に行った。
なぜか1階の部屋は1つしかなく、僕はその部屋になった。2段ベッドが一つと普通のシングルのベッドが一つの3人用という不思議な作りの部屋だった。トイレのドアを開けて中に入るとその大きさに理解できた、ここは車いすの人でも利用できる部屋、だから1階なのだ。なんだか少しラッキーだったかもしれない。

夜遅く、年寄りの男性がやってきた。どうやらシングルの方は誰も使ってないらしく、僕と彼のみだった。こんな年寄りも利用するのかと思っていると、話しかけてきた。


なんと彼はここにしばらく住んでいるのだと言う。
驚いた。
しかし、金額にするとここの1泊の料金はわずか£14(1,750円)なので、ひと月52,500円だ。水道ガス電気はもちろん払わなくて良いし、ベッドメイキングも頼めばしてくれる。食事は完全に有料だが大した額ではない。身の上話はあまりされなかったので、彼の家族や背景は謎だがここにしばらく住み、拠点としてさまざまな場所に歩いたりしているという。




彼は翌朝(かなり早朝)また何処かへ行ってしまった。