2012/12/30

一党独裁、シンガポール

もうここは永遠に夏だ。






久々に日本語表記を見た。






シンガポールまでやってきた。
暑い、ドバイに比べたらジメジメしてるし日本の夏に似たような陽気。




そんな東南アジア初日にバテてしまった。時差ぼけもあるのかわからないが、チャイナタウンのフードコートで食べたつみれ入り豚のスープとご飯のセットで200円位でとても美味しかったのだが、それを食べた数時間後、久々にそれはやってきた。モロッコから調子が悪い事はほとんどなかったのが奇跡なくらいだ。


張り裂けそうな腹痛と吐き気。もうトイレの事しか考えられない。








しかもドミトリーのホステルは異様なくらい人がいるのに室内は静か過ぎて、ざわざわ音を立てるのも気になる。


結局腹痛と夏バテのような症状は3日続いた。












くる日も倦怠感。もうなんにもしたくない、外に出る気も失せるほどの暑さ。水ばかり飲んでるのも体に悪いと思い、何か食べにいってまた腹が当たる。それの繰り返しだった。
というか僕の腹が弱くなっていたのだろう。




最後の日にやっと体調が上向きになってきた。

一応マーライオンとやらを見る事にした。









問題のフードコート



マーちゃん



マーライオンに関しては特別何も感動はしなかった。それよりも奥の船が乗っかったビルの方が興味深かった。




なんとか体調を戻し、翌日シンガポールを出発した。その日は突然豪雨が降ったりやんだりの天気で、いつも以上に湿った気候だった。僕はマレーシアのクアラルンプールに鉄道で行くため、シンガポールの北にあるウッドランズチェックポイント駅まで行き、国境審査を終え鉄道に乗り込んだ。


なんと夜行じゃないのに寝台だった。これはラッキーだ。


2等の車両自体はとても古いものだが哀愁がこもっていてアットホームで居心地は悪くなかった。





時差ボケはまだ続いており数時間寝た。14時発で20時半着なのだが、当然のように1時間遅れて到着した。




2012/12/26

ここが石油大国ドバイか

イスタンブールを経つ時、外はものすごい大雪になっていた。激しく横殴りの雪にはいささか気が滅入った。僕はこの先本当はキプロスからベイルートに入りアラブ諸国を回ってインドへ、なんて考えていたのだが、お金もそんなに多く残ってない事からドバイ、ドーハ、シンガポールから東南アジアというこの旅行最後のプランを決めた。

イスタンブールからドバイまではフライドバイという新参のLCCで出発はサビハ・ギョクチェン空港というイスタンブール市内からやや離れた場所の空港だった。メインの空港は地下鉄で一本なのだが、このサビハ空港は行き方が複雑で情報も少ない、ホテルのおやじに聞いてやっとわかった。まず10分程歩いて地下鉄に乗る、終点で降りトラムに乗り換える、やはり終点まで行きそこから地下ケーブルカーでバスステーションまで行きそこからバスで1時間。とてつもないアクセスだった。

タクシーやプライベートバスがあればいいのだが、タクシーはこの前の事もあるしプライベートバスもない。仕方なく雪道を歩き始めた。



その後、トラムも地下鉄も激混みで、バスを待つのに雪が降る中30分くらい待ち、やっとこバスに乗る。だが、それからが大変だった。なんと1時間かかると言われていたバスが渋滞のせいで2時間半もかかったのだ。僕は空港で食事もしたかったので早めに出発しておいて正解だった。


そのぶん飛行機は快適に感じた。3人がけのシートは僕一人だったし、ほとんど真っ暗に近いぐらい照明を落としていたのでぐっすり眠れた。












ドバイには朝の5時頃到着した。入国審査で日本のパスポートの強さを知り、その足でホテルに向かった。気温は25℃、カラッとしていた。





ホテルについて気がついたのだが、ドバイはあっけにとられる程広い。なめていた。
ホテルから地下鉄の駅まで10kmくらいあるし、どの建物も面積が広い。タクシーの初乗りが60円程で良かった。



僕の泊まった宿は安めのビジネスホテルなので(それでも一泊4000円くらい)中心部からはえらく離れている。周りは砂漠だらけだ。





ドバイメトロに乗り、ダウンタウンに行ってみた。



これが世界最高峰のブルジュ・ハリーファ。



せっかくなんで登ってみる事にした。


なにやら近未来なエレベーター内。











これは、見た事のない景色だった。50階建てくらいのビルたちが小さく見えた。








外はテラスのようになっていた。その隙間から下を覗くと。。。


このホテルも結構高いはずなんだが、ミニチュアみたいだ。




ドバイはモールだらけだ。あちらこちらにモールがあって、なかでもドバイモールというのが世界最大級らしくとてつもなく広い。どのブランドも店のデザインが本気過ぎで驚愕した。ちなみにこれはラルフローレン。



正直に言うと街全体がリゾート地だ、水族館や大型アミューズメント施設。
まるでミッキーのいないディズニーランドだ。ここは僕のような一人旅のくるような場所ではない事はわかっていたが、やはりそういう場所のようだ。
ハネムーンなんかがちょうどいいだろう。






クリスマスのイルミネーションはどこでも日本のそれのように賑やかでまるでムスリルの国とは思えない。アメリカからと思われる家族連れが多く、バカンスを楽しんでいる。高速道路では高級外車がずらりと並び、髪の長い女性がオープンカーを乗り回す。モールではイスラムの民族衣装に身をまとった人々がブランドものを買いあさる。


正直、うらやましかった。



まあ、そんな夢のような生活はできないにしろ、この国を覗けただけでも目標は達成できたと思う。

そんな事より酒が飲みたい。イスラムの国には酒がない。
ドバイも同様らしいが、どうも高いらしい。








2012/12/24

Best Album of 2012 (17~)

性懲りもなく前回の続きを。


●17 Until The Quiet Comes/Flying Lotus


この世界観は素晴らしい。彼の作品のなかで一番好きだ。





●16 Sun/Cat Power

髪を短髪にしたショーン姉さん、さぞかし今いる場所が暑いのだろう。こんなに情熱的な作品もおそらく初めてだろう、スパイスが利きすぎて刺激的だ。この数年間で、彼女に眠っていた何かが爆発したのだろう。そりゃ熱くなるよ。



●15 Quakers/Quakers

Portisheadの中心人物ジェフ・バーロウやその友人などによってユニットされたHip-Hopグループ。ジェフはもちろん楽曲やサンプリング担当と思われるが、その完成度は信じられないくらい良い。やはり音のひとつひとつがマニアックで、重厚感が半端ない。41曲にも及ぶ長編アルバムだが、Mixさながらの構成で、1曲あたりも短く聞きやすい。圧巻なジェフの自己満な1枚。


●14 Master/Santigold


アメリカのサンティゴールドという黒人の女性シンガーで、プロデューサーが同じという事もありM.I.A.寄りな今作。前作の中途半端なバンドっていうのか、ヒップホップというのか、まあ微妙な1stアルバムに比べてかなり強気になったのは感じられる。ライブを見てからアルバムを聴いてみようと思ったのだが、カレン・O参加の曲とかが臨場感がよかったので良く聴いた一枚。



●13 Shields/Grizzly Bear

時間の流れが止まっているのではないか、こんなに集中して聴けるようなアルバムが彼らから出てくるとは思わなかった。シリアスでムーディー。




●12 Choreography/Weird Dreams

彼らの事をまだよく知らないが、おそらくまだニキビのあるような若者なんだろうな。でもアルバムの内容は若さが溢れているがとても良い。




●11 Steam Days/Nathan Fake

待ってましたと言う程でもないけど、彼のフルアルバムを陰ながら期待していた。音圧も凄いが、今のダブステップやエレクトロを周到していて、こんなに悪っぽい音を出すんだなと思った。








それではトップ10















●10 Silencio/Laetitia Sadier

ステレオラブのレティシアの2ndアルバム。
今回は割とラテン風の味付けになっているが、彼女独特のアマっぽいギターサウンドや相変わらずのふわふわするシンセの良さは変わらない。まあ何と言ってもボーカルだが。
ソロに慣れた感じもあり、前回よりのびのびしていると思う。今何をしているのかわからないステレオラブの首謀者ティムゲインが作ったの新曲もあり大満足な1枚。





●9 Lonerism/Tame Impala

オーストラリアの男4、5人のバンドだったけ?確か前にサマソニで観たときはそんな感じだった。格別いい印象もさほどなかったように思える。だがこのアルバム、凄くツボを押さえているような感じがする。哀愁こもったメロディがまた味があっていいね。
あっぱれ。











●8 Overgrown Path/Chris Cohen

Deer Hoof の元ギタリストでもあり、ベーシスト。Chris Cohenのソロアルバム。
そのDeer Hoofという荒々しい奏風のバンドから離れ、ひとりでこの作品を作ったという。ものすごく孤独感に溢れた音楽で、とは言っても音数や楽器が少ないわけではない。悪い意味でもない。砂漠の先の地平線の先をいつまでも追いかけるような、そんな乾いたアルバムだ。しばらくこういうアルバムに出会っていなかったような気がする。











●7 Bloom/Beach House

やっぱり良いね。Beach Houseの4枚目くらいになるアルバム。
目を引くのはこのジャケットで、僕がベンツの博物館に行ったとき、たまたま天井がこんな照明だったので写真を撮ってみたら凄く似ていた。

という余談はおいといて、本当に素晴らしい!聴いていて幸せになるし、もうメロディの心地よさの次元がヤバすぎる。











●6 Little Broken Hearts/Norah Jones

デンジャーマウスというプロデューサーによって彼女は生まれ変わった。
これはノラジョーンズの印象を完全に変えてしまった作品になったと思う。もう過去のようなグラミー賞をたくさん取るような音楽ではない。こんなに心にしみるノラジョーンズは初めてだった。ジョーイワロンカーのドラムも大いに貢献していると思うし、ノラジョーンズの割と良いギターも、もう臭いギミックではない。




















●5 >>/Beak>

またまたジェフバーロウの登場だが、今度はBeak>という数年前からやり始めたクラウトロックのバンド。アナログなシンセのサウンドや乾いたドラム、たまに狂いだすギター。このグルーヴ感は前作も素晴らしかったが、今作はさらに地味な格好となり。もう職人のような頑固なアルバムとなっている。「これがわからないんだったら、別に聴かなくてもいい」と言いそうなジェフ。ライブのときも、「君たちシガーロスを見なくて良いのかい?」と言う程だ。もう趣味の境地なのだろう。
























●4 Sushi/James Ferraro

去年の"Far Side Virtual"からなんと1年も経っていないのに新作が出た。タイトルは"Sushi"だが、まったく寿司とは関係性のない音楽だ。前作は割とコンセプトもはっきりしていてストーリーがあるような気がしたが、今回はひとつひとつの音は相変わらずその辺の音楽ソフトに入っているような安い音で、前回にも増して彼の作り出したブラックホールに吸い込まれるような感覚に襲われる。へんてこな曲ばかりだが、その辺の実験音楽を気取っている奴らに比べたら雲泥の差だと思う。




















ではベスト3です

















●3 The Haunted Man/Bat For Lashes

"Two Suns"から3年、ナターシャ・カーンがついに3枚目のアルバムを発表した。"Two Suns"以降は特に音沙汰もなく淡々と曲作りをしていたが、途中でスランプに陥ってしまったらしい。だがトムヨークの助言もあり、このアルバムが完成したという。

確実に成長を遂げた、彼女の曲たちは以前のアルバムの曲たちが小さく見えてしまうくらいのできだと思う。実際ライブを今年2回も見て、バンド編成が変わっている事もあるが、新曲の良さが際立つライブとなっていた。
このアートワークの思い切りさも凄いが、アルバムの全体的な印象もちょっと頑張りすぎな気がしてならない。

日本に帰ったら、しばらく彼女のライブが見れなくなるだろう。なんとか日本で人気が出てくれないだろうか。






●2 Pink/Four Tet

これまた、度肝を抜くような作品を作ってきたもんだ。これはシングルを集めたコンピレーションらしいが、そんな情報はもうどうでもよく、堂々としたFour Tet流ともいうべき曲たちが収められている。様々な電子音の完成度は高次元で、完璧なタイミングには感動する。

僕はマンチェスターにいるとき毎日トラムからの景色を眺めながら聞いていた。あの、古いレンガ作りの家々がなんともこのアルバムに合っていたように思える。
個人的には"Peace For Earth"が一番好き。

















●1 Visions/Grimes


間違いなく今年一番の衝撃。
圧倒的なエネルギー。この勢いは他の追随を許さないと感じた。彼女の作り出すサイケデリックワールドには終始脱帽であり、浮遊するような何重にも折り重なるボーカルとコーラスに、鋭く乾いたビート、これも作り込まれた電子音ではないということが即興のような臨場感が出ているのではないか。歌詞もまた常人なら理解できない謎めいたところも良い。まだまだ若いクレアちゃんだがこれからが非常に楽しみな1枚であったと思う。おそらくこの子きちがいなほどオタクだろう。


なにあともあれ、なんでもいいから表現したい事をするというのは素晴らしい事だ。彼女もそうだ、ライブではやりたい事が多すぎで毎回失敗する。だが客はそんな彼女見てブーイングをするわけでも冷めるわけでもなく笑ってその空気を楽しんでいるようだった。









今年もまた僕が思う良いアルバムがたくさん出てよかった。また来年も本当に性懲りなくこれをやると思います。話は変わるが、ドバイのクリスマスはかなり盛り上がっている。イスラム教の国なのに。








2012/12/22

Best Album of 2012 (30-18)



ちょっと旅行とは脱線しますが、いつもやっている自己満足なのですいません。


もうこんな季節になっていることにやや驚きます。ああ、もうクリスマスか。




今年出たアルバムの中から30枚のランキングをここドバイからお送りいたします。
毎度のことだが、僕の各アルバムに対する上から目線の発言や勘違い等は犬の遠吠えだと思ってスルーしてほしい事を願う。




●30 Musostics/Junior Electronics





真面目なアルバムだと思う、ステレオラブにも参加してたジュリアンガスクの作品。





●29 Vartari/Sigúr Ros



レイキャビクでのライブは本当にすばらしかった、今思い出すだけであの夜が蘇ってくる。アルバムの方はもう過去のようなシガーロスに比べると難解さが増してしまっているが、出来は悪くないと思う。



●28 Shrimp/Sharon Van Etten

こんなダイナミックさが好きだ。





●27 Le Voyage Dans La Lune/Air


前作に比べるとコンセプト感が強いせいか、オリジナリティが低くなったような気がするが、リラックス効果のあるメロディは健在。




●26 Allelujah! Don't Bend!Ascend!/Godspeed You! Black Emperor




弾けるようなノイズ、シンセ。だが、長く聞けない。












●25 In Our Heads/Hot Chip


今回は割といいんじゃないかな。もっとマニアックな音や感じにしてもいいと思う。










●24 Late Night Tales/Lindstrøm



オリジナルアルバムではないものの、すごい音だ。もともとアナログ寄りのシンセの音にはこだわりのある彼だが、オリジナル作品より本気出してる感じがある。
夜のデートのドライブに聞きたいアルバムベスト5に入るだろう。






●23 Don't Think/The Chemical Brothers


ケミカルブラーザーズのライブ音源はこれまでなかったし、自分の行ったフジロックのライブの音源ということもあり期待に胸を躍らせた。ライブ感がよくでていて、素晴らしい音源だと言える。だが残念なのは楽曲の音はモノラルで、客の歓声がなぜかステレオというところだ。一体これはどいう真意があるのだろうか。





●22 The Master(Original Motion Sound Tracks)/Johnny Greenwood,Ella Fitzgerald,Madisen Beaty,Jo Stafford,Hellen Forest



レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドによる映画のサントラ。相変わらずのスタイルだが今回はストリングス中心の曲が多め。Able-Bodied Seamenなどはジョニーらしい民族的な音楽だ。






●21 Jessica Pratt/Jessica Pratt




ギリシャを車で走らせているときに良く聞いた。古ぼけたレコードから流れてきそうなアルバム。







●20 Swing Lo Magellan/Dirty Projectors



前作の印象が強烈で、ライブも素晴らしいダーティープロジェクターズの新譜。今作はメンバーの多少の変更もありながらも、前作と比べるとアグレッシブで楽器による表現も豊かな情熱的なアルバムだ。お馴染みの女の子たちのコーラスも健在。前半の勢いは圧巻だが個人的に好みかどうかはまた別の問題だ。






●19 Put Your Back N 2 It/Perfume Genius


Hoodというこのアルバムのシングル曲によって彼の存在を知ったが、前作を聞いてみて「これは!」と声が出る程の名盤だった。そして満を持しての今作だが、前作程の驚異的なアルバムとまではいかないが、彼の世紀末のような独特なボーカルと音数の少ない、なんというか霧の中のような雰囲気の音楽だ。




●18 Centipede Hz/Animal Collective



アニコレ至上一番の問題作なのではないか、前作でかなりの人気を手に入れたこのバンドだが、今作はそんなファンの思いをあざ笑うかのような全くアニコレではないアルバムになったのだ。音楽情報サイトなどでも扱いはあまりよくなく、おそらく売り上げも悪いだろう。だが今作の異常な程のポップや過去の自分たちなどに無頓着な姿勢は褒めたいと思う。










疲れたので、またつづく