130km/h制限でブレーキを踏む。
ミュンヘンには真っ暗闇の夕方6時に着いた。僕には一生似つかないベンツくんを道端に放置駐車してホテルにチェックインした。
アコギは寂しさも含まれた感じだが、メロディはたまにキャッチーで飽きさせなかった。CDも売っていたが買うのを忘れてしまったのが残念だ。
お客さんが少ないので絢子氏の隣に誰かが移動してきたのが目についたので見てみると、なんとレティシアだった。前座の彼が終わる頃にはもういなくなっていたが、あのステレオラブのレティシアがここにいる。と僕だけが興奮していた。
前座の彼が終わり、ついにレティシアのバンドが現れた。ドラムにベース、レティシアのギターの3人構成だ。時折、ドラムがシンセを弾いていた。
ライブの方は想像以上に素晴らしく、もう感無量で一杯になっていた。本家ステレオラブのライブは2009年の一度だけしか見ておらず、しかもその時はここまで彼らのことに興味を抱いていなかったのもあるので実質今回が初めて真剣に生のレティシアを見れた。
客の数は少なく、ステレオラブの曲も残念ながらやらなかったが、盛り上がり充実したのは間違いない。ライブが終わるとレティシアがサービスなのかグッズ販売のところにやってきた。
これはレティシアと話す一世一代のチャンスだと確信した。しかし、驚いた事に僕の体はガクガクに緊張し始めた、こんなに緊張したのは久々だしこのままでは良い判断が下せない。気を落ち着かせながら、手の空いたレティシアに写真撮影を申し込んだ。気さくに彼女は一緒に撮ってくれたが、僕は緊張で言いたい事がうまく口から出てこない。
結局日本から来ましたと言うと、
「日本?ありがとう。日本でプレイしたいわ。日本のどちらから?」「東京です」
「ライブで何度も行ったわ」。。。
「See you in Tokyo」
サインしてもらうと、僕はもう頭の中が爆発しそうなくらいオーバーヒートしていたので、それを冷ます必要があった。Bat For Lashesのナターシャの時のようにすらすらと会話ができなくて残念だったが、僕は今までに感じた事の無いくらいの達成感で一杯になっていた。
もう日本に帰っても良いかもしれない、この後の人生をゆっくり考え直したいと思った。ここまでの旅でいろいろな奇跡や偶然を感じた事により、失敗もあるが何事も為せば成ると思うように感じた。まずは行動しかない。どんなに他人に後ろ指を刺されようとも。
人生が何章かに分かれているならば、確実に今夜はひとつの章のエンディングだと思った。