2016/12/29

2016ベストアルバム #10~#1



ベスト10となりました。去年も同じようなことを言いましたが、今年のベスト10は非常に濃厚で選ぶのに苦労しました。


それではどうぞ。
















Super Low
WAREHOUSE
BAYONET RECORDS






今年大いに注目したのBayonet Recordsからもう一枚。ジョージアのアトランタ出身の若い5人組のWarehouseだ。まさか神取忍の息子さんじゃないですよね?と訊きたくなるほど似ているボーカルのElaine君。
そして彼のダミ声の癖の強いボーカルが特徴的でとてもファンキーだ。
バンドは80年代パンクを思わすスタイルで、同じジョージア出身のR.E.M.を思わずにはいられない。疾走感はまるで"Murmur"のそれに通ずるし、メロディはR.E.M.3rdの"玉手箱"の哀愁感を感じずにはいられない。
このダミ声とギターの感じ、とても渋いですよ。

まだまだ若いので、そっと彼らの才能の発揮を見守っておくことにしたいと思う。


















Junk
M83
MUTE




本国フランスよりイギリスやアメリカで流行っているシンセポップユニットM83の7枚目の新作"Junk"が9位。
彼らのことは前から認知はしていたが個人的にそこまでハマるようなことはなかった。今回も流すような感じで聴いたのだが、このドラマティックな展開と底知れぬムーディさ、たまに出てくるちょいダサなホームセンターBGM(#Moon Crystal)といい僕の心をすっかり掴んでいたのだ。"The Wizard"はこれまでのM83にはなかった新しいものだとかってに僕は思う、80年代のテクノポップを思い出す。
相応してタイトルのJunkという投げやりな感じのタイトルとジャケットの謎のキャラクターとなぜかハンバーガーとロゴのフォントの安っぽさは内容のドラマティックさとかけ離れているところも良い。











Everywhere at The End of Time
THE CARETAKER
History Always








調べ不足で恐縮だが、アメリカのネットライブラリーに保管されている無数の曲の中から著作権の無いものがダウンロードできるようになったそうだ。
おそらく1900~20年くらいの間とされ今から100年前に録音されたものをエフェクトやノイズを調整してループ状にしたものを作品としている、その多くの曲は作者や奏者が不明だったたりするもので、それだけでどことなくミステリー感が漂う。
彼がこの素晴らしい曲達の断片を作品にしたことによって現代とは全く違う空気感の音楽を楽しむことができる。
それは現代の曲にはない音楽という娯楽の楽しみ、感動というものを与えてくれるのだ。別に今の音楽が悪いと言うわけではなく種類が違うことを言いたい。

誰が作ったのか演奏しているのかわからない、ただ単調なピアノのメロディを聴くと、ふわっとセピア色をした西日がアンティークな家具を照らす部屋にいるような感覚に陥った。

このThe Caretaker、これから3年で同様の作品6枚をリリースする予定だと言う。しばらく彼が発掘し磨き上げたものが我々を再び感動させることだろう。
















Schmilco
WILCO
dBpm Records







個人的にシカゴの重鎮、Wilcoが前作Star Warsに継ぐ2年連続のリリース。

10枚目となる今回のアルバムは当サイト初ランクインということになったのは僕自身意外を通り越して怒りを覚えるほどだ。

まず、このアートワークが可愛すぎるのことだ。こんなに愛くるしくコメディでポップなジャケットは未だかつてあっただろうか?
そしてなぜ今の今までWilcoの良さに気づがなかったのだろう、きっかけは今年のフジロックだった。
そう10年連続で行っていたフジロックを3年連続で断念していたのだが、もう我慢の限界で来年こそは行くしかないと決めているのだが、それもこれもWilcoがとてつもなく良かったという声が相次いだためだ。

話はだいぶそれてしまったが、この空気感こそがWilcoであり彼ら以外にこの濃厚でエキセントリックで聴いてて何も心配しなくて良いロックというのは彼らくらいか、去年のベストサウンドオブシカゴがヨラテンゴ(ニュージャージーだけど)ならことしはウイルコでしょ。

















The Hope Six Demolition Project
PJ HARVEY
Vagrant Records







個人作としては9作目となる5年ぶり、PJ Harveyの新作だ。相変わらずコンセプトをしっかりとこしらえて自分の今伝えたいことをしっかりと伝えるというところがすごい。

それは昔から変わらない、しかし音楽の分野は若いころ彼女がやっていたパンクよりとはだいぶ変わってきている。

前作"Let England Shake"から個人的には大きな変化はないと考えている。5年経って変わったことはサックスが増え、さらにブラックミュージック寄りな曲が多くなったところか。
ポーリーの相変わらずのハスキーボイスも健在で5年待って安心する内容の傑作だ。

さて、来年2017年1月31日にいよいよ久しぶりの来日公演があるのだ。2004年のフジロック以来だという、2004年のフジロックといえば僕が初めて行った年でもある。19歳だった。
その時残念ながらポーリーの姿どころか存在すら知らなかったことは今となっては懐かしい。そんな日本では貴重なポーリーのライブを観れるのはすごく嬉しいし、アルバムごとにステージのコンセプトががらっとかわるので、そういう意味でも楽しみである。















IV
BADBADNOTGOOD
Innovative Reisure






突如として僕の目の前に現れた、カナダはトロントを拠点とするジャズ,フュージョンバンドBADBADNOTGOODだ。弾けるようなグルーブ感ととろけるようなしっとり感、そしてラップが混ざることにより一気にモダンな仕上な曲もある。シンセが終始ギンギンによく響き時折ハイパーチューンが鳴るあたりはセンスが良い。

なんといってもエキセントリックなサックスとクラリネットの青年の演奏はたまらないし畳み掛けるような高い技術のドラムはこれまでこんな素晴らしいジャズバンドをみたことがない。

この間ライブに行った時にそれは確信に変わった。あまりにも高いグルーブ感にボーカルがいないことを忘れてしまうほどのクオリティだった。

これから決して忘れることのできない重要なバンドの登場です。





















Day Breaks
NORAH JONES
BLUE NOTE






ノラジョーンズが"Little Broken Hearts"以来の4年ぶりに新譜をリリースした。
この作品は前作プロデュースしたデンジャーマウスを離れ、おそらくここまでセルフプロデュースに近づいたのは初めてなのではないでしょうか。一応3名の連名になっているが、カバー曲以外はノラ自身が中心に書いた曲であるようだ。

前作のバーや小さい箱に似合うジャズバンド風というのか、どちらかというとバンドサウンドが圧倒的に多く、それは僕にとって過去の作品を覆すほどの内容でありニュー・ノラジョーンズのはじまりを予感させたのは言うまでもない。

そして去る今年の秋、"Carry On"でノラは舞い戻って来た。初め聞いたとき、おや以前の大衆的ノラに戻ってしまったのかと少しさみしい思いをした。アルバムが出て、通して聞いてみると"それ"はすぐに吹き飛んでしまった。
これはただものではない、以前のノラにもどった?ふざけるなと一蹴してやりたい。
特にノラのソングライティングの能力が爆発し、それをまとうベースとドラムのリズム隊がもうこの上ないほど強力なムードを作り出している。
もし、ドラムがジョーイ氏(前作)だったら。いやそんなたらればはどうでもいいくらいもっとも彼女に惚れた秋だった。






























Wildflower
THE AVALANCHES
XL/EMI/Modular






いよいよ3位となりました。
第3位はあの伝説的なアルバム"Since I Left You"から16年という時を経て完成したアヴァランチーズの新作です。

"Wildflower"は彼らのハイセンスな選曲とタイミングによってとても心地よく身体に伝わってくる。
このアルバムはおそらく後半のThe Wozard Izの為のものなのアルバムなんじゃないか、もしくはそれまでの曲は、この曲までの壮大な振りなんじゃないかと勘ぐるほどこの曲への送り込みが全力で爆発的な開放感がある。
そういう意味ではすごくライブ感のある新作だと思う、一定のそこまで広くないジャンルに統一されているようだし前作のような組み合わせが複雑なもの、曲単位として出来上がっているようなものも少ない。
それにしても、この完成度は流石としか言いようがない出来上がりだ。他では真似できないサンプリングの数にただ圧倒される。

全く音楽性は違うが、グルーヴ感とわずかな緩さがある同じオーストラリアのTame Impalaとなぜかシンクロしてしまう。そのTame ImpalaCourtney Barnetの昨年の成功といい、今非常にオーストラリアの若い世代が熱く強固なものになっていることが手に取るようにわかる。

祝"Frankie Sinatra"の”あ〜パンツ下がっちゃう"でタモリ倶楽部最高評価。

























A Moon Shaped Pool
RADIOHEAD
XL




もうザキングオブリムスから5年も経っていた。
彼らの新譜をリアルタイムで聴くことは僕にとってとても重要なことで、それはビートルズをリアルタイムで聴いていた方々を羨ましがるように、将来レディオヘッドをリアルタイムで聴いていたという事をそこらじゅうの若い世代に話したいというのは少しあります。
じゃなくて、自己満足なんです。

そう、いつもそうだ。
彼らのアルバムは長生きする。僕が彼らの作品を特にひいきして大袈裟な視聴会をセッティングして、あたかも聴き過ぎたらCDがすぐに壊れてしまうくらい脆いものを扱うように聴いていたからだ。

それを無きにしても彼らの作品はいつ聴いても同じ興奮やいつもと違う興奮や感動が湧く。彼らのライブに行ったことがあるでしょうか、おそらく今まで観てきた全てライブの中でも彼らのステージは確実に群を抜いている。第8位のケアテイカーでも同じようなことを書いたが、現代の音楽ではあまりない音楽という娯楽の感動が彼らからは大いに感じる。

内容からすっかり離れてしまったが、このひっそりと森の中に佇むような。うーんなんと形容したら的確かはもはや、他のどのバンドとも形容することが難しくなっている領域である。サウンドはおそらく超高価な機材はもちろん、古いアンティークなアナログの録音機材も多く使われていることは間違いない。その音が物語る空気はアルバムのコンセプトによく馴染む。

曲単位で言えば例のあの曲だけ少し語らさせていただきたいのだが、Identikitという2012年のツアーで披露された新曲が個人的にはレデイオヘッドで最も良い曲として宣伝して回ったが、表情を大きく変えてリニューアルされて登場している。
当初こそ、その変貌ぶりに困惑したがこのリニューアルはAMSPにおいてもっともらしい変化であるといえよう。ライブの"Identikit"も以前とリニューアルされ、アルバムに沿った演奏となっている。こちらも細かいことは言ったらキリがないが、このバージョンも他の曲と馴染んでいい演出効果のひとつとなっている。


サマーソニックでの素晴らしいライブとともにトムヨークと直面した衝撃は、いつまでも僕の記憶中に残るだろう。


















Next Thing
FRANKIE COSMOS
BAYONET RECORDS









お待たせをいたしました、今年のベストアルバムはフランキーコスモスのネクトシングであります。
今年はBayonetの発見が大きくランキングに左右した一年となりました。

フランキーコスモスは本名グレタといい母親に昔女優だったフィービークラインを持つ若干22歳の女子だ。この事実は少々年上の先輩方なら驚きだろう。
ネット配信サイトのバンドキャンプに宅録したデモを大量にアップしていたようで、そのアルバムの数は40を超える。(ほぼ弾き語りがメイン)
2014年にデビュースタジオアルバムとなるZentropyDouble Double Whamyからリリースする。
今年になって初めて聞いた時は彼女のことを知らなかったことを後悔するぐらい可愛らしく女の子の青春を甘辛く歌った学生バンド風のアルバムであった。

youtubeがきっかけだった。なんか変な動画作る子がいるなと思った、同時期にピッチフォークが撮ったジオラマの中でグレタがギターで弾き語る動画。

一瞬で惚れてしまった。
アルバムを即座に聞いてあることに気づく。
全部曲が短いのだ。ああ、これは短編集なんだと感じた。それもそのはずアルバム通して15曲で29分しかないのだ。

そう、これこそが彼女の持ち味なのだ。アルバムの中にいくつものポップでどこかまだ素人感のあるグレタやバンドが作り出すショートドラマが心深くまで染みてくるのだ。グレタの叙情的な歌声と味付けをまったくしないダンエレクトロのちょいへたギター。ベースとシンセとドラムはお友達か、はっきりいて技術はまだまだだが、彼女の作り出すメロディアスな短編集はどうかこの先も才能が"コカツ"しないことをただ祈るばかりだ。

最近のライブ動画をみるとグレタは丸坊主にしたようだ。おそらくトランプ当選の翌週だったので、おそらくそれが原因かと。








1. Next Thing/Frankie Cosmos
2. A Moon Shaped Pool/Radiohead
3. Wildflower/The Avalanches
4. Day Breaks/Norah Jones
5. IV/Badbadnotgood
6. The Hope Six Demolition Project/PJ Harvey
7. Schmilco/Wilco
8. Everywhere at The End of Time/The Caretaker
9. Junk/M83
10. Super Low/Warehouse11. Void Beats/Invocation Trex/Cavern of Anti-Matter
12. Emotional Mugger/Ty Segall
13. Sirens/Nicolas Jaar
14. Skiptracking/Mild High Club15. Toon Time Raw!/Jerry Paper
16. The Bride/Bat For Lashes
17. The View From Nowhere/Matt Carlson
18. Housebound Demigod/G.H.
19. elseq 1-8/Autechre
20. 22,A Million/Bon Iver
21. The Catastrophist/Tortoise
22.Orange Out EP/Tyondai Braxton
23. AIM/M.I.A.
24. Preoccupations/Preoccupations
25. Randoms/Four Tet
26. Sport/Powell
27. Day of The Dead/Various Artist
28. My Woman/Angel Olsen
29. The Digging Remedy/Plaid
30. Too Many Voices/Andy Stott
31. Painting With/Animal Collective
32. Oh No/Jessy Lanza
33. CSLM/Jeese Osborne-Lanthier&Grischa Lichtenberger
34. Light Upon The Lake/Whitney
35. Future Present Past EP/The Strokes




それにしても、今年は名盤が多く揃いました。それが原因でベスト10の編集も書きたいことも多く非常に大変でした。ベスト35から読んでくださった方、どうも有難うございます。よいお年を。

このあと予定では同居人による2016ベストアルバムランキング、そして僕の選ぶベストビデオ2016を予定しております。


2016/12/23

2016ベストアルバム #20~11




それでは20位からお送りしたいと思います。

余談ですが、今年はマイイヤホンのShure535LTDが復活したこともあって、より細部のリスニングがまたできるようになったことは、おそらくランキングに影響しているかと思われます。だが、また故障してしまったんですけどね。








20
22,A Million
Bon Iver
Jagjaguwar

大きな変化と謎めいた雰囲気を持ち合わせた傑作がBon Iverの"22,A Million"だ。
前作までは、フォークというジャンルに含まれていたような気がする、個人的には好き嫌いの問題でうまく波長が合わなかった。過去のこのランキングでもBon Iverがランクインするのは初めてである。 

内容はとても前衛的で、ボーカルの音声は常に変形されておりこれまでなかったノイズ調の電子音が登場し、展開も多種多様に富んだ。非常にクリエイティブといる作品になった。以前のようなどこか無虚を感じるような独特な世界観は健在で、さらに磨きがかかる。
だが、個人的には少々重量を感じてしまうのか最後まで聴き通すことが困難なくらい重い。
















19
elseq1-8
Autechre
Warp


Warpの重鎮Autechreが3年ぶりに姿を現した。暗号のような奇妙なアートワークとともに、完全オリジナルサイトだけでの配信や突如のリリースというこれまた他にはあまりできない独自路線を突き進んでいるような感じだ。5つのパートに分けられた21曲は全曲合わせると4時間8分という途方もなく長い道のりのアルバムである。

サイトのダウンロードはMP3($33)とWAV/FLAC(16BIT/$45)さらにWAV(24BIT/$55)というグレードから選択できる仕組みになっているが、24BITは12BITのハイレゾを上回るクオリティである。おそらく24BITの$55払うツワモノ購入者はオウテカフアンの領域を超えるオウテカよりオウテカな人たちなのだろう。

内容もすごいことになっている、というか毎回内容に関しては脱帽なのだが、今作はとにかく長い。僕も(MP3購入)挑戦したが当然通しで聴くことは1度もできなかった。まるでオウテカの4時間ライブに参加しているようなそんな感じだ。いつも以上にライブ感が高く、リアルタイムでミックスを行なっているような曲もある。さらに言えることが、音が本当に高品質であるということだ、先にも触れたがおそらく24BITを爆音で聴いたら幽体離脱出来るくらいの3次元的な音質になっていることが想像できる。彼らのサウウンドクリエイティブがこれまで到達していなかった領域まで来ているのだ。。















18
Housebound Demigod
G.H.
Modern Love

30位にランクインしたAndy Stottと同じModern LoveからG.H.というアンビエント作品を一枚。本名はGary Hewellと名乗り、ドローン音楽やベルリンダビングと呼ばれるジャンルのプロジェクトを経験しており、今作は彼にとってデビュー作となっている。

前半は暗く重い空気が流れる古い倉庫や工場の環境音のような雰囲気があり、中盤からサンプリング音声と時折ペースが変わる乾いたドラムマシンのリズムがこれまた白と黒だけしかない人間のいなくなった世界を描いているようだ。






17
 The View From Nowhere
Matt Carlson
Shelter Press

こちらはアメリカはポートランドからの実験的な作品。DIY電子音楽ともいうこのジャンル。聴いてみると面白い。リズムのある軽快な曲もあるが、ボコーダーで何層も重ねてメロディにしてみたり、強くエフェクトをかけたシンセが縦横無尽に行ったり来たりしたりと個人的には2016年度版Clusterの"Curiosm"である。

あまりにも編集が大胆で途中笑ってしまう曲もあるほど。宇宙サウンド満載な作品は必聴。うん必聴しなくてもいいかも。このなかでも個人的に秀逸だと思うものを一応あげときます。


























16
The Bride
Bat For Lashes
Parlophone

通算4枚目となりだいぶ成熟が見られるBat For Lashesが16位。当初コンセプトの内容が、結婚式に行く途中に事故にあい新郎を失った花嫁という非常に暗いコンセプトで、シングル曲以外はスローで語り口調の歌が多い。
だが、それが結果的にアルバムの内容を深く濃厚なものにしている。もはやビートの効いたシングル曲が煙たい存在になるくらいで、こんな哀愁感と悲壮感がこもった彼女の新作は今までで最も素晴らしいアルバムだと感じた。

UKチャートも9位というのも納得である。だが、日本はおろか本国UKでも大きな扱いはされないように思われた。初来日公演という夢は一体いつ叶うのだろうか、途方もない夢となってしまった。当ランキング2009年と2012年では共に3位と寛大な評価であったが、当方の趣味が多種多様になったせいもあり今回は控えめな順位となってしまった。
















15
Toon Time Raw!
Jerry Paper
BAYONET RECORDS


なんともかわいらしいアートワークとゆる〜い音楽が現れた。

今年の個人的大発見といえばBeach Fossilsというバンドが最近始めたBAYONET RECORDSというレーベルである。去年の時点ではまだこのレーベルの存在をはじめ、所属するバンドすら知らなかった。

そんなBAYONETからJerry Paperの新作をまず15位に選んだ。メロウで奇妙な世界観のボーカルがクオリテイの高いジャズバンドを率いている。そのバンドが素晴らしく真面目で、彼の妙にくねくねとした存在にマッチする。基本はサイケポップだが、ジャズやラウンジなんかの曲もちらほら。薄暗くなった夕刻の時分を彼らのマイルドでくねくねサイケデリック浸ってみては。

序盤の曲もいいが中盤の#Benny Knowsと#Gracie IIが哀愁こもっていていい感じでてます。
そんな太っ腹な彼らはアルバム全曲サウンドクラウドでさらけ出している。(https://soundcloud.com/bayonetrecords/sets/jerry-paper-toon-time-raw-1
)









14
Skiptracking
Mild High Club
Stones Throw


またまたゆるい感じの音を紹介したいと思います。
Mild High Clubはシカゴ出身のAlexander BrettinがLAで結成したバンドだそうだ、前作"Timeline"に次ぐ2作目だがまだ僕はこのアルバムしか聴いていない。

なんというか、この人すごくポップのツボを知っている方のようで、どの曲もツボを押されまくりな気分になります。
ゆるい感じのややローファイなサイケというかポップなんですけど、ピカイチなポップセンスを何度も何度も出してくる。。












13
Sirens
Nicolas Jaar
OTHER PEOPLE


Nicolas Jaarの新作は静けさと狂騒、つまり静と動が織り成す傑作となった。
前作が"Space Is Only Noise"の2011ならば5年ぶりの新作となる。彼はその間Darksideというバンドを組みこれまた傑作アルバムを作った。そのDarksideの香りがまだ残る、静と動を使いこなしたニコラスが彼自身にしかできないディープな夜の世界を音で体現している。

#Noはこのアルバムでも最もインテリな出来上がりとなっている。
そして、このアルバム。僕はLPを注文したのだが、なんとコインが同封しており、そのコインで白く塗られたジャケットを購入者に削らせ、アートワークを浮かび上がらせるという手法を用いたところもおもしろい。








12
Emotional Mugger
Ty Segall
Drag City

ガレージやノイズロック系のシンガーソングライターのTy Segallによる8作目"Emotional Magger"である。
気持ちよく爽快な歪んだギターが終始炸裂している。前作(13位)から2年ぶりの新譜だ。
彼のガレージバンド以外はあまり聞かなくなっているが、おそらく彼が抜け出た存在であるからだろう。今作はさらに真に迫った感じで磨きがかかっている。










11
Void Beats/Invocation Trex
Cavern of Anti-Matter
Duophonic

ティムゲインがようやく重い腰をあげ、ステレオラブの休止宣言以来細かいプロデュースなどの活動を除いて、約8年ぶりに公の舞台に登場した。”ステレオラブではない”ということ以外はどんなにこの瞬間を待ちわびただろうか。もうステレオラブの復活の予感はほぼなくなってしまっていたし、リマスターの情報も無い状態だったのでこのバンドの結成のニュースは非常に感激した。

去年、彼らは2曲のシングルをリリースし、中でも"Pulsing River Velvet Phase"は過去のステレオラブ作品にこういうインストの曲があったんじゃないかと思うほど懐かしいシンセが心地よい曲だった。アルバムの方も懐かしい感じがオンパレードで”なんだ結局ステレオラブやりたいんじゃん”と言うのを準備していた。
 だが、内容は違っていた。確かにティム特有のカッティングやアナログシンセのメロディなんかは彼の得意とするところだ。しかし、内容は明らかにクラウトロックであり時には激しさを増し、壮大なグルーブ感があったりする。そして唯一のボーカルのあるDeerhunterのBradford Coxが登場する#liquid gateに至っては、他の曲と全くテイストが違い、違和感さえ覚えるも曲とボーカルがいいので存在感は十分だ。


ここに来てティムゲインの制作意欲が湧き、今まで出したことのない色を出し、かつ今までステレオラブで培った技術は惜しみ無く投入して高いクオリティの作品を出しているところをタイムリィに聞けるところは彼らを心底ひいきにしている僕からすると、これほど嬉しく感無量になることはない。

ティムさんよ、レティシアはいつでもあんたのことを待っているんだよ。






2016/12/20

2016 ベストアルバム #35~21


2016年ももうわずかとなってしまいました、今年はいろいろありましたという言い方のはとても平凡で、そもそもいろいろない年など無いと思い。。

まあひねくれはさておき、今年もいろいろありました。

そしてやはりこのベストアルバム企画は僕にとっての毎年恒例行事となっており2008年にミクシィでただその一年でよく聞いたアルバムを20枚紹介したのが始まりでした。
今年は8回目となりました。あと何回これをやるのかと思うと気が遠くなるのでとりあえず気が遠くなる50年を目標に頑張っていきたいと思います。

それでは始めたいと思うのだが、今年は曲ごとのランキングのトラックベスト20なるものを毎年やっていましたが、それは後かもしくはやら無い方向でいきます。先にやってしまうとアルバムの発表でトーンダウンしてしまうものを防ぐためです。(謎)

それでは今年は少しボリュームを増やして35位から21位まで一気に発表したいと思います。




#35
Future Present Past EP
The Strokes
CULT

ストロークスのEPから今年のランキングをスタートさせたいと思います。
収録曲のDrag Queenを発表した時は、久々の新譜かと心を躍らせたが蓋を開けてみればミックス曲を含むたった4曲のEPだった。シングルリリースとも取れるこの軽い内容にスルーしそうになっていたが、ものすごいパワフルな3曲だったことに驚き思わずアルバムという枠組みで35位にランクインさせてしまった。なんといっても3曲目の"Threat of Joy"は圧巻で過去の脂が乗った時代と昨今の充実期を融合させたような素晴らしいガレージサウンドである。前作から3年経っていることもありフルアルバムはこのEPを出したことによってしばらくお預けか。





#34
Light Upon The Lake
Whitney
Secretary Canadian
シカゴのフォークバンドWhitneyによるデビューアルバム。甘く柔らかくてやさしい歌声のボーカルにアコースティックよりの味付けのバンドが織り成すハーモニーは耳に残る。心地のいい気分にさせる要因はおそらく哀愁こもったアルペジオと距離をすこし取ったように聞こえるストリングスだろう。今年は各紙の注目バンドとなったことは一聴すればすぐに理解できるだろう。










#33
CSLM
Jesse Osborne-Lanthier & Grischa Lichtenberger
Cosmo Rythmatic

ドイツのエレクトロニックをどうぞ。
これは普段聞き慣れないレーベルのため非常に勉強不足だが、たまたま出会ったとあるサイトで引っかかったので購入して何回か聞いたのだが、直感的に入ってくる音が印象的で、いったいどういう作りでこのような変則的なリズムを作り出しているのかが興味深いし、淡白なリズムも僕の好みだ。


















#32
Oh No
Jessy Lanza
Hyperdub

BurialやZombyといった今をときめくロンドンのダブステップシーンを擁するHyperdubからカナダ出身のJessy Lanzaに注目してみました。2013年の1stからの2枚目だそうだが、今

カナダのダンスミュージックで女性といえばGrimesが真っ先にでてくるのであるが、個人的には全く違うところと、そうでないところがあるような気がする。こちらはGrimesよりも真面目なテクノポップでフランスのYelleなんかも距離が近いような気がするが、彼女たちよりも音マニアな感じがするのはぼくだけか。








#31
Painting With
Animal Collective
Domino

前作から4年経ち、デビューから16年とすでにベテランの域に達した感もある彼らの新作。前作は大衆的臭さが一切排除されマニア向けなものを作ったもんだなと感心していたが、今作も同様だった。コンセプトは違えど全く大衆受けするような、あるいは踊りやすいダンスチューンみたいなものも存在しない。
今回はライブ志向な作品といえよう。というかサマソニのホステスの枠のために作ったのではないかと思うほどあのフェスのステージによく似合っていた。当然と言うべきか必然というべきか小生は30分ほどで飽きてしまった。まあそんなことはさておき、彼らはとことんこのマニアック路線を突き進むべきだと感じた作品でした。








#30
Too Many Voices
Andy Stott
Modern Love


UKのModern Loveという前衛的ダブレーベルから1枚。マンチェスターのアンダーグラウンドを牽引している(?)とも思えるような"アバンギャルド"なサウンドが鳴り響く。
Bjorkのアルバムに参加したArcaなどと近い感じもするが、基本的なリズムは乱さず正統派な前衛的ダブステップとでも言うのだろうか。攻撃的な打撃音に押しつぶされそうになる。






#29
The Digging Remedy 
Plaid
Warp


Warpレコードを古くから支えてきた玄人でもう25年というキャリアを誇る彼ら。どうやらWarpは昔とコンセプトを変えない人たちが多い気がする、Warpを代表するAphex TwinやAutechreそしてこのプラッド。時代遅れというわけではなく、サウンドクリエーションの進化によって恐らく彼らはこれを恒久的にやり続けることができるのではないかと思う。
PlaidがBjorkとコラボしたのがもう20年も前だったことを考えるとこのブレなささは脱帽というしかない。







#28
My Woman 
Angel Olsen
Jagjaguwar

今年、最もインディー界隈の紙面を賑わせた一つがAngel Olsenだろう。
前作はおっとりした作風だったが今回は技術面でもプロデュース面でも内容が一気に太くなったこともあり"Shut Up Kiss Me"のような攻撃的な一面も顔を出すことになったようだ。
個人的には好きです。






#27
Day of The Dead 
Various Artist
4AD

Grateful DeadのトリビュートアルバムでThe Nationalのレズナー兄弟が4年前くらいから取り掛かったコンピレーション集。とてつもないボリュームとブルックリンあたりのインディーズのバンドがこぞって参加しているところがすごい。元のバンドのことをあまり知らないことが残念だが、フォーク調の曲が多いようだ。その曲も今をときめくバンド達がさらに磨きをかけている。強烈にハイクオリティだ。Courtney Barnettがカバーした曲が良い。








#26
Sport
Powell
XL

イギリスにアンダーグラウンドレーベル"Diagonal"を主宰するPowellによるデビュー作。全く知らなかったのでこういう発見は嬉しいがデビューが期待されていた人らしく、XLでのリリースも満を持して打たれた感じがある。作品はとても軽快なエレクトロでまさに名の通りスポーティな仕上がりとなっている。







#25
Randoms
Four Tet
Self Released



今年一番のアートワークだと思う。
去年"Morning/Evening"をリリースしたFour Tetが過去のコンピレーションへの提供曲などを寄せ集めたもの。グレイテストヒッツのような内容に誰もが大満足するのは間違いない。どの曲も時代を感じさせずFour Tet特有の綺麗なビートで埋め尽くされている。








#24
Preoccupations
Preoccupations
Jagjaguwar

ノイズとローファイなバンドサウンドが心地よいPreoccupationsのデビュー作。実は去年までViet Congという名で活動しており当ブログでも24位と健闘した。
去年のベトコンに比べると成長感が感じられた。だが僕の期待はもう少しあったようだ、去年の感動よりは下まわってしまったものの同じく24位という位置にした。








#23
AIM
M.I.A.
Interscorp

彼女がこれまで作り上げてきた作品の音楽的貢献度は圧倒的だと思う。この10年余、度々我々の度肝を抜く表現力は圧巻だった。そんな彼女も様々なトラブルに見舞われ、(というか本人発端のことが多いが)今回もリリースするしないのすったもんだももうお馴染みとなってきた。だが恐らくこういった面倒ごとが今回の"最後のアルバム"という発言に行き着いたのではないかと思われる。これが最後になるならば、しばらくこんな破天荒で天才な女はしばらく現れないんじゃないかな。







#22
Orange Out EP
Tyondai Braxton
Nonsuch Record

去年6年ぶりの新作"HIVE1"( watariwatari17位)をリリースした元バトルスのタイヨンダイ氏。早くもEPという形で新作がリリースされた。前作の充実ぶりはソロとしてのタイヨンダイに感銘を受けたのは記憶に新しいが、今作はEPという枠組みを大きく超える内容の濃さであり彼特有の実験的ループの嵐、リズミカルな打楽器の鮮明さ、大胆なサンプリングは前作"HIVE1"を超える内容であり彼の重要な作品となるだろう。個人的なハイライトは最後"Greencrop"





#21
The Catastrophist
Tortoise
Thrill Jockey


Tortoiseの7作目となる約6年半ぶりの新作が22位。
実際ここまで何回も彼らのアルバムを聴くのは初めて。終始完成度の高いシンセバンドだが、"Yonder Blue"は終始ローファイなサウンドにNicoを思わせる歌声が。。。
おっとこれは Yo La Tengoのジョージアさんの美声でしたか。














つづきは後ほど。。。