2012/09/16

Paris:日本人街

Bestivalの興奮も冷めやらぬうちにEuroStarに乗り込み、8カ国目フランスに上陸した。





パリは初めてだった、前回フランスに始めてきたときはリールという小さな町のみだったので、その大きさに驚いた。


パリ・ノード(北)駅に降り立つと、フランス語ばかりの表示に動揺し英語の存在感はもうない。地下鉄に乗ろうとチケットを買おうとすると青年が英語で「買い方教えるから買ってあげるよ」と言っている、彼はチップが欲しいのである。ぷいぷいと手ではね除けるがしつこい。「フランス語がわからなきゃ買えないよ」と彼は食い下がるが、その手にはもう乗らない。あまりにもしつこいので窓口に移動して買うことにした。青年はやっとあきらめて他の観光客を探しに行ったようだった。

階段を下りると、暗いホームに大勢の人が地下鉄を待っていた。

モスクワの地下鉄よりは安全そうだったが、こちらも地下鉄らしい危険があちこちに潜んでいるようだった。
轟音とともに白い車体に緑のラインの古い地下鉄がやってきた、ロンドンの地下鉄よりずっと古い。車両が古いとなんだか危険な目に巻き込まれそうな予感がする。重いバックパックを下ろし、目的の駅まで20分くらい立ち続けた。

途中、とある駅で中年の男がバイオリン片手に乗ってきた。電車が発車するなり彼は笑顔でバイオリンを弾き始めた。


衝撃的な光景だった。
彼はワルツのリズムの短い曲を弾き終わると、これまた満面の笑みでベレー帽を逆さにし乗客に小銭を要求し始めた。まさか出す人はいないだろうという僕の思惑とは裏腹に数人の客が面倒くさそうにポケットから砂利銭を取り出しそれをベレー帽に投げ入れる。

パリではあちらこちらで小銭を要求する人々が目立った。気の毒だがフランスの失業率は良くない、そういったことが背景にあるのかもしれない。

仕事のない者はパリに仕事を探し求めに来る、それでも職が見つからない者は観光客の集まるところにやってきて様々な方法で小銭を得て生活をする人がいる。中でも多かったのが、恵まれない人に署名をして寄付してくださいと頼む方法。おそらくその寄付した金は彼女らの懐に行くのだろう。




暗い話は終わりにしよう。とにかく、パリに着いた。
今回の宿はARTY PARISというドミトリーだ、パリにしては€28と安く割とこぎれいなホステルだった。なぜか日本人観光客が多く、孤独感を休ませることもできた。

翌日は宿で出会ったユウヤ君とルーブル美術館と日本人街へ行くことにした。特に用事もなかったので、のんびりと過ごした。


ルーブルの広さはただものではなかった、モナリザやミロのビーナスは常に超満員でモナリザやビーナスが記者会見をしているようだった。









僕らは日本人街へと移動した、あのオペラ座の近くが日本料理などで栄えているという。誰かからラーメン屋も点在していると聞いたのでパリでラーメンを食べることにした。

オペラ座界隈を歩き回っていると、あるある日本語が!日本食に溢れた街が。
ラーメン屋も豊富のようだ、サッポロラーメンや大勝軒、とんこつ。。種類も選べるほどだ。僕らは悩んだ結果、行列のできているNARITAKEに入ることにした。




まず、パリで行列のできるラーメン屋に入れるということで感動し、あの独特の豚骨の香りにさらに感動し、東京で我が愛おしい「にんにくや」の行列に並んでいる時のドキドキのような感覚にまた感動した。もうこうなったらどんな味でもいいスープと麺さえあれば何でもいいという気分のまま満を持して入店した。





注文し、待つこと10分少々










「これはこれは、こってりラーメン君お久しぶり」

たっぷりのネギ、もやし、メンマ、そして割とぱさついたチャーシュー。忘れるべからずこってり背脂。

スープを一口頂くと、うーん。うまい。
立川にある「立川や」のしょうゆこってりに似たあっさりとこってりが混在しているスープ。麺はわりと太め。九州出身のユウヤ君はこの系統のラーメン自体が初めてのようだった。


充実した。やっぱりラーメンはうまい、この1ヶ月いったい僕は何を食べてきたんだろうと悲しくなった。

店では日本人がラーメンを作りそれをフランス人の青年らが片言の日本語で提供する。フランス人の青年にどこで日本語を勉強したのか訊くと。「日本に1年いました」という答えが返ってきた。

いつの日かパリ家系ラーメンというパリのオリジナルのラーメン屋があちこちでできることを願い店を出た。


1杯€8(800円)のラーメンに別れを告げたが、その夜背脂で腹が下ったということは恥ずかしいので内緒にしておきたい。













凱旋門ちかくの並木は奇麗だった。
パリの人の服装はほんの一部の派手な者を除き割とシンプルで潔かった。よくカフェにいるクリスチャーノ・ロナウド風の好青年はセーターにマフラーだけで格好が良くみえた。




そして









Moulin Rouge(ムーランルージュ)

さすがにショーは見れなかったが、これがムーランルージュ。歴史の重みでいっぱいのその風車を見ながらスターバックスの冷たいコーヒー牛乳を飲んだ。



いろいろ見たいところもまだあったがあっという間に3日間が過ぎてしまった。
そういえば、パリは本当にフランスパンがおいしかった。値段も50円くらいで50cmくらいの長いバケットが買えて、まだほんのり暖かい。つまんで口に入れると、もうおいしくて止まらない。




朝ホステルを出発しボルドー行きのTGVに乗り込む。なんとチケットは1stクラスなのだ。
なぜバックパックなんか背負っている奴が1stクラスなんて選べるのかだって?
なぜならヨーロッパのチケットのシステムは非常にユニークで早く買えば買うほど安い、最初はもちろん2ndの方が安い、だがある程度売れてくると値段が上昇する。そこでまれに
1stと2ndの価格が同じになることがあるのだ。

今回はタイミングが良かったということであるが、この値段のシステムにはいささか翻弄される。だが、安く旅行したい人にとっては大変便利で歓迎的なシステムと言えるだろう。
実際パリ−ボルドー間は当日買うと€100するが、僕は2ヶ月前に購入して€40だった。

日本ではこのシステムは導入できないだろうな。

1stクラスの乗り心地はなかなか良いものだった。仕切りがあり2人掛けと1人掛けのまるでソファーのような大きなシート。雰囲気は高級ラウンジのようだった。

もちろんバックパッカーなどいない。


恥ずかしながらバックパックを座席の頭上のスペースに置く。


客はラップトップをカチャカチャいじっているビジネスマンやキャリアウーマン風のスレンダーな女性がワインやシャンパン片手にくつろいでいた。



発車前から席を移動しようかと思った。