2012/12/24

Best Album of 2012 (17~)

性懲りもなく前回の続きを。


●17 Until The Quiet Comes/Flying Lotus


この世界観は素晴らしい。彼の作品のなかで一番好きだ。





●16 Sun/Cat Power

髪を短髪にしたショーン姉さん、さぞかし今いる場所が暑いのだろう。こんなに情熱的な作品もおそらく初めてだろう、スパイスが利きすぎて刺激的だ。この数年間で、彼女に眠っていた何かが爆発したのだろう。そりゃ熱くなるよ。



●15 Quakers/Quakers

Portisheadの中心人物ジェフ・バーロウやその友人などによってユニットされたHip-Hopグループ。ジェフはもちろん楽曲やサンプリング担当と思われるが、その完成度は信じられないくらい良い。やはり音のひとつひとつがマニアックで、重厚感が半端ない。41曲にも及ぶ長編アルバムだが、Mixさながらの構成で、1曲あたりも短く聞きやすい。圧巻なジェフの自己満な1枚。


●14 Master/Santigold


アメリカのサンティゴールドという黒人の女性シンガーで、プロデューサーが同じという事もありM.I.A.寄りな今作。前作の中途半端なバンドっていうのか、ヒップホップというのか、まあ微妙な1stアルバムに比べてかなり強気になったのは感じられる。ライブを見てからアルバムを聴いてみようと思ったのだが、カレン・O参加の曲とかが臨場感がよかったので良く聴いた一枚。



●13 Shields/Grizzly Bear

時間の流れが止まっているのではないか、こんなに集中して聴けるようなアルバムが彼らから出てくるとは思わなかった。シリアスでムーディー。




●12 Choreography/Weird Dreams

彼らの事をまだよく知らないが、おそらくまだニキビのあるような若者なんだろうな。でもアルバムの内容は若さが溢れているがとても良い。




●11 Steam Days/Nathan Fake

待ってましたと言う程でもないけど、彼のフルアルバムを陰ながら期待していた。音圧も凄いが、今のダブステップやエレクトロを周到していて、こんなに悪っぽい音を出すんだなと思った。








それではトップ10















●10 Silencio/Laetitia Sadier

ステレオラブのレティシアの2ndアルバム。
今回は割とラテン風の味付けになっているが、彼女独特のアマっぽいギターサウンドや相変わらずのふわふわするシンセの良さは変わらない。まあ何と言ってもボーカルだが。
ソロに慣れた感じもあり、前回よりのびのびしていると思う。今何をしているのかわからないステレオラブの首謀者ティムゲインが作ったの新曲もあり大満足な1枚。





●9 Lonerism/Tame Impala

オーストラリアの男4、5人のバンドだったけ?確か前にサマソニで観たときはそんな感じだった。格別いい印象もさほどなかったように思える。だがこのアルバム、凄くツボを押さえているような感じがする。哀愁こもったメロディがまた味があっていいね。
あっぱれ。











●8 Overgrown Path/Chris Cohen

Deer Hoof の元ギタリストでもあり、ベーシスト。Chris Cohenのソロアルバム。
そのDeer Hoofという荒々しい奏風のバンドから離れ、ひとりでこの作品を作ったという。ものすごく孤独感に溢れた音楽で、とは言っても音数や楽器が少ないわけではない。悪い意味でもない。砂漠の先の地平線の先をいつまでも追いかけるような、そんな乾いたアルバムだ。しばらくこういうアルバムに出会っていなかったような気がする。











●7 Bloom/Beach House

やっぱり良いね。Beach Houseの4枚目くらいになるアルバム。
目を引くのはこのジャケットで、僕がベンツの博物館に行ったとき、たまたま天井がこんな照明だったので写真を撮ってみたら凄く似ていた。

という余談はおいといて、本当に素晴らしい!聴いていて幸せになるし、もうメロディの心地よさの次元がヤバすぎる。











●6 Little Broken Hearts/Norah Jones

デンジャーマウスというプロデューサーによって彼女は生まれ変わった。
これはノラジョーンズの印象を完全に変えてしまった作品になったと思う。もう過去のようなグラミー賞をたくさん取るような音楽ではない。こんなに心にしみるノラジョーンズは初めてだった。ジョーイワロンカーのドラムも大いに貢献していると思うし、ノラジョーンズの割と良いギターも、もう臭いギミックではない。




















●5 >>/Beak>

またまたジェフバーロウの登場だが、今度はBeak>という数年前からやり始めたクラウトロックのバンド。アナログなシンセのサウンドや乾いたドラム、たまに狂いだすギター。このグルーヴ感は前作も素晴らしかったが、今作はさらに地味な格好となり。もう職人のような頑固なアルバムとなっている。「これがわからないんだったら、別に聴かなくてもいい」と言いそうなジェフ。ライブのときも、「君たちシガーロスを見なくて良いのかい?」と言う程だ。もう趣味の境地なのだろう。
























●4 Sushi/James Ferraro

去年の"Far Side Virtual"からなんと1年も経っていないのに新作が出た。タイトルは"Sushi"だが、まったく寿司とは関係性のない音楽だ。前作は割とコンセプトもはっきりしていてストーリーがあるような気がしたが、今回はひとつひとつの音は相変わらずその辺の音楽ソフトに入っているような安い音で、前回にも増して彼の作り出したブラックホールに吸い込まれるような感覚に襲われる。へんてこな曲ばかりだが、その辺の実験音楽を気取っている奴らに比べたら雲泥の差だと思う。




















ではベスト3です

















●3 The Haunted Man/Bat For Lashes

"Two Suns"から3年、ナターシャ・カーンがついに3枚目のアルバムを発表した。"Two Suns"以降は特に音沙汰もなく淡々と曲作りをしていたが、途中でスランプに陥ってしまったらしい。だがトムヨークの助言もあり、このアルバムが完成したという。

確実に成長を遂げた、彼女の曲たちは以前のアルバムの曲たちが小さく見えてしまうくらいのできだと思う。実際ライブを今年2回も見て、バンド編成が変わっている事もあるが、新曲の良さが際立つライブとなっていた。
このアートワークの思い切りさも凄いが、アルバムの全体的な印象もちょっと頑張りすぎな気がしてならない。

日本に帰ったら、しばらく彼女のライブが見れなくなるだろう。なんとか日本で人気が出てくれないだろうか。






●2 Pink/Four Tet

これまた、度肝を抜くような作品を作ってきたもんだ。これはシングルを集めたコンピレーションらしいが、そんな情報はもうどうでもよく、堂々としたFour Tet流ともいうべき曲たちが収められている。様々な電子音の完成度は高次元で、完璧なタイミングには感動する。

僕はマンチェスターにいるとき毎日トラムからの景色を眺めながら聞いていた。あの、古いレンガ作りの家々がなんともこのアルバムに合っていたように思える。
個人的には"Peace For Earth"が一番好き。

















●1 Visions/Grimes


間違いなく今年一番の衝撃。
圧倒的なエネルギー。この勢いは他の追随を許さないと感じた。彼女の作り出すサイケデリックワールドには終始脱帽であり、浮遊するような何重にも折り重なるボーカルとコーラスに、鋭く乾いたビート、これも作り込まれた電子音ではないということが即興のような臨場感が出ているのではないか。歌詞もまた常人なら理解できない謎めいたところも良い。まだまだ若いクレアちゃんだがこれからが非常に楽しみな1枚であったと思う。おそらくこの子きちがいなほどオタクだろう。


なにあともあれ、なんでもいいから表現したい事をするというのは素晴らしい事だ。彼女もそうだ、ライブではやりたい事が多すぎで毎回失敗する。だが客はそんな彼女見てブーイングをするわけでも冷めるわけでもなく笑ってその空気を楽しんでいるようだった。









今年もまた僕が思う良いアルバムがたくさん出てよかった。また来年も本当に性懲りなくこれをやると思います。話は変わるが、ドバイのクリスマスはかなり盛り上がっている。イスラム教の国なのに。