2013/01/10

僕はこのままどこに連れて行かれるのか

カンボジア、シェムリアップに来たからにはアンコール遺跡に行かずにはいれない。ホテルのおやじに聞くと、日本語のガイドつきで30ドル、別にチケット代が20ドルかかると言われた。それは高いと思い、トゥクトゥク1日チャーターで12ドルの方を選んだ。

日本語によるガイドは無いが、気ままにアンコール遺跡を回れるという事もあり便利だ。


それを決めた後、近くの旅行代理店でホーチミン行きのバスのチケットを購入した。明日の朝にでるメコンエクスプレスは快適でプノンペンを経由して約12時間かかると言われた、価格は24ドル。もう一つは今夜12時に出発して明日の昼にホーチミンに着くというもの。これはVIPバスでスリーパーシートだし、Wi-Fiもトイレもついてるから快適だと言われ、価格は20ドル。寝れば良いやと思いこちらに決めた。





トゥクトゥクに乗って20分くらいでアンコール遺跡のチケット売り場に着いた、まるでテーマパークのようなチケット売り場だ、外国人が大勢いて賑わっている。



そして一番始めにアンコールワットについた。トゥクトゥクのおじさんはここで待ってると言われ、僕は一人で歩き始めた。














すばらしい建築に感動し、またトゥクトゥクに乗り、今度はアンコールトムに移動した。




アンコールトムはいくつかの遺跡の密集地帯で、歩いて回った方が楽だと言われた。















しばらく歩き回り、今度はタ・プロームに移動した。

はっきりってアンコールワットよりこちらの方が感動した。ガジュマルに浸食される遺跡がなんとも妙な風景を作り出していた。時間が経つにつれこの遺跡はガジュマルに飲まれ、崩壊してしまうのだろうか。





まるでついこの間まで動いていたような木。


もの売りも多かった、少女や少年が巧みに英語や日本語を使い、絵はがきや果物、飾り物などをどこまでもしつこく売りつけてくる。

この少女もそうだった、マンチェスターユナイテッドのユニフォームが印象的だ。





そして、僕は夜12時にバスに乗りホーチミンを目指した。

昼間に言われたVIPバスなんて言うのは全くの嘘で、ボロボロのバスだった。
車内に入ると、もう20年以上は使い古している事がすぐにわかった。車内の風景は衝撃的で、雑魚寝のようなベッドが右側2列、左側1列で2段ベッドになっている。
僕は運が悪く上段の右側だった。隣にはカンボジア人の若い女性と、おそらくその女性の子供であろう2、3歳の子供を抱っこしていた。ベッドには仕切りなんてものは無い。ただ雑に毛布が一枚あるだけで、荷物置き場も無い。トイレも、もちろんWi-Fiなんてものはない。


次々と乗車してくる白人のバックパッカーたちも車内に入ると目を丸くして、今自分たちがおかれている状況を信じられないという苦痛の表情を浮かべていた。


出発は1時間遅れた。

発車後、とてつもないスピードととてつもない揺れ。隣の子供は泣き出す始末。
自分の調子が悪かったら耐えられなかったと思う。


なんとか寝よう寝ようと思い、無理矢理寝る。



朝7時頃。起きると、どこかに着いたようだ。
プノンペンだった。


旅行代理店の人はノンストップでホーチミンまで行くと言っていたはずだった。
ほかのバックパッカーの人も困惑気味で、バス会社の青年らに聞くと、ホーチミンは乗り換えとだけ言い残し、バッグを置き去って行った。

ホーチミンに行く人はさほど多くはなかったもの、皆寝ぼけていたし、怒りを通り越しあきれて呆然としているだけだった。


バスを乗り換えると、今度は普通の4列のシートのバスだった。まずまず快適で、乗車率も少なかったので、悪くはなかった。この時点では。


バスは順調にベトナム国境近くまでやってきた。パスポートを回収され、国境の目の前で食堂に入った。
ここでのフォーが大変美味しかったことが壮絶なバス旅行の癒しとなった。が。

外でバスのエンジンがかからないと大騒ぎをしている。



もう乗客のほとんどは飽きれて笑っていた。


運良く逆側から来ていた同じバス会社のプノンペン行きのバスがいたので、道連れになってもらい、ケーブルをつなぐ。って、バッテリーあがっただけかよ。。



なんとそれでもエンジンがかからず、汗だくのバス会社の若造たちはなんとみんなでバスを押して押し掛けすることを決めたそうだ。食堂から道路のわずかな傾斜を利用して、押し掛けする。


掛からない。

今度は道の反対側の空き地から押すことにしたそうだ。車やバイクを止めて、10人掛かりで空き地に追いやる。


ドゴンという大きな音をたてた。どうやら溝にはまったらしい。


もう笑うしか無い。




その後、食堂の従業員などが手伝い、数十人で押して溝からバスを出し、その勢いで食堂にバスを突っ込むかのようなスピードで押し掛けをし、やっとエンジンがかかる。



その後は難なく国境を超え、ホーチミンに着いた。結局シェムリアップを夜12時に出発して、翌日の夕方3時に着くというありさまだった。
隣のノルウェー人のバックパッカーが「インドより酷いよ、あいつら僕らが囚人かなんかだと思ってる」と冗談を言いたくなるのもわかる。


これからは
「私どものバスは大変古く、非常に劣悪な環境です。途中故障して到着が3時間遅れる恐れもありますが、それでもよければ私どものバスをお選びください。」

と記載してほしいものだ。





飛行機なら160ドルで1時間。
バスなら20ドルで15時間といくつかのトラブル。


あなたはどちらを選びますか?