2012/11/09

Iceland Airwaves (後半:Sigur Rósとか)



Iceland Airwavesも土曜日となり後半に差し掛かってきた。レイキャビークの街は相変わらず突風が吹き荒れ、寒さは乾燥しているせいで凍えるほどではないものの寒いものは寒い。








この日の昼間は写真家のシバノさんと絢子さんと3人でハルパのオフべニューに行った。
オフベニューでは若手バンドなどが出演していた。ハルパの建築デザインは素晴らしいと思う、菱形や平行四辺形のガラスがいくつも折り重なって構成されている。内側からも外側からも楽しめるデザインだ。

オフベニュー会場はハルパの4階の踊り場のバーで行われていた。お客さんの数は多くても100人くらいが限界のキャパか。ちょうどアメリカの"Ghost Town Jenny"がやっていた。2組目の''Úlfur ''はシーケンサーをたくさん使っていて面白かった。お客さんのなかにはSigur Rós(シガーロス)のJónsi(ヨンシー)の姿も。










ライブが終わり次のバンドまで待っている間、僕はトイレに行きたくなった。この尿意には我ながら感謝したい。なぜなら、、、

トイレに行き当然のように小便器前に立つ。用を足す。
そして、故障した便器を挟み男性が隣に立つ。ふと隣をみると、その男性はヨンシーだった。隣同士という偶然に驚きを隠せない僕。

軽く挨拶すると、やさしく返事をしてくれた。


洗面台にはヨンシーの彼氏の姿もあった。
こちらにも僕と彼らには全く接点がない赤の他人だが軽く会釈をすると、にこやかに笑ってくれた。

ヨンシーが用を足した後、トイレ内で彼らと固く握手をしてくれた。
「明日見に行き来ます」と言うと。
「ありがとう、日本から?」と訊かれた。


会話はそれだけだったがとても嬉しい、これだけでもここに来たかいがあったと思った。

トイレなんかで声をかけた事をここで謝りたいと思う。




Jonsi&Alexに別れを告げ、握手の余韻に浸りながらその夜はメインであるDirty Projectorsを見に行った。







翌日は最終日だが、オフベニューや公式ライブもSigur Rós以外は特に見たいものもなかったので、マイさんとしゃれたカフェも併設しているホステルのKEXにアウスゲイルのライブを見に行った。
信じられないほど人口密度が高く、アイスランドの若者が凝縮されたような空間だった。


後ろの方のステージが見えない人たちは椅子に立ってライブを見ていた。





夜になり、Sigur Rósの会場の体育館へと向かう。体育館といっても中は非常に奇麗で、僕の好きな幕張メッセがこんじまりしたような空間であり快適だった。

すでに多くの人がライブを待っていた。
床は絨毯のようなものが敷かれていたので端のほうではみんな寝っ転びながら待っている、僕はなぜか疲れていたのでそこでいびきをかきながら寝入ってしまった。


Sigur Rósのライブは20時からの予定だったが、遅れてスタートしたようだった。

会場が真っ暗になる。
ステージ3方向に布が掛かっており、そこに映像が投射されていた。檻のようなこのステージは3曲目が終わると布が落ち、Sigur Rósのメンバーやサポートメンバーたちがはっきり見えるようになった。''Svefn-g-englar''は感動のあまり涙が出た。

ステージ上のヨンシーは昨日トイレで僕と握手したヨンシーとは全く違う人物のように見えた。





僕らのいる方は人があまりいなかったのでステージ向かって左側の前の方まで行ってみると、なんとステージは真横からでも見れるようになっていた。そこから写真を撮る。

Sigur Rósとの出会いは2005年のフジロックに遡るが僕はまだその頃はアイスランドといえばBjórkくらいだった。あの時はアイスランドに初めて来た後で、心底感動したのが懐かしい。

2005年に初めての海外旅行でアイスランドに来た時はほとんど何もできなかったし、まだレイキャビークも今のようなアートな文化は小さかったし今より随分と寂しかった気がする。
だが、確かに他には無い何かはあった。その経験があるから今ここにいるいるんだなあと、彼らの演奏を聴きながら思った。





"Í Gær""Viðrar Vel Til Loftárása""Vaka""Glósóli"名曲のオンパレードに新曲もやった。


Sigur Rós @Laigardalshöllin,Reykjavik
1.Í Gær
2.Vaka
3.Ný Batterí
4.Svefn-g-englar
5.Sæglópur
6.Viðrar Vel Til Loftárása
7.Hoppípolla
8.Með Blóðnasir
9.Olsen Olsen
10.Glósóli
11.Festival
12.Varúð
13.Hafsól
encore
14.Ekki Múkk
15.Brennisteinn(new song first play)
16.Popplagið


9月にイギリスのBestivalで見た時より、比べ物にならないくらい良かった。やはり野外フェスティバルというのはたくさんのミュージシャンが見れる事が利点だが、良いパフォーマンスが見れるかといとメインアクト以外はそうではないと思う。細かい事を言うと天候、音響、準備不足などが挙げられる。

Bestivalのことは置いといてIceland Airwavesを通して参加して思った事は、ステージがオフベニュー含め街中にいくつもあり、カフェやバーなどでライブが楽しめるという点は面白いと思うし斬新だと思う。アーティストも偏りが無くアイスランドの様々なミュージシャンが見れるのもよい。外国のミュージシャンはまだ数が多くなく割と名前の知られていないバンドが目に付くがそこは仕方が無いだろうし、これからもビッグネームを呼ぶような大型フェスティバルでなくても良いと思う。
だが天候の安定しないアイスランドで外で待つ事になったりした時はつらい思いをするだろうし、アクセスも大抵のフェスティバルとは違うのでかなり歩く事もある。会場もまだまだ発展途上なフェスティバルということもあり、キャパシティにやや問題がある気がする。

だが、遠いアイスランドのフェスに来るというのは大変な事だが、(着いてからも大変だが)来たかいはきっとあると思う。運が良ければ街からオーロラも見えるしトイレでヨンシーに会えるかもしれない。








エアウェイブスで完全燃焼できた僕らは、アイスランド滞在も残す所3日のみとなっていた。